大白蓮華 2014年(平成26年)8月号(No.777)

巻頭言
 
未来部は地球家族の旭日なり

創価学会名誉会長  池田大作


 人の生命が誕生する。それは、全宇宙から地球に贈られた、かけがえのない宝といってよい。

「子どもこそ人類の創造者」と謳(うた)ったイタリアの教育者マリア・モンテッソーリは語っている。
「子どもには、いまだ知られていない力が秘められており、私たち人類を輝く未来に導いてくれます」と。

 仏法の明鏡(めいきょう)に照らすならば、今この時代に生まれ、育ちゆく子どもたちは、21世紀のこれからの世界をリードする大力(だいりき)を帯(お)びて登場してくれたのだ。
 それゆえに、「桜梅桃李(おうばいとうり)」の法理の如く、それぞれの子どもが持つ多彩な、計り知れない可能性を、健やかに個性豊かに発揮していけるよう、私たちは真剣に祈り、心を尽くし、力を合わせていきたい。

 法華経の会座(えざ)で、「即身成仏(そくしんじようぶつ)」の現証を最初に示して、「万人成仏(ばんにんじようぶつ)」の道を踏み開け、衆生の心を大いに歓喜させたのは、8歳の竜女であった。
 日蓮大聖人は、南条時光(なんじょうときみつ)兄弟、乙御前(おとごぜん)、月満御前(つきまろごぜん)、経王御前(きょうおうごぜん)など、門下の子らを最大に慈しまれていた。

法華経を信ずる人は冬のごとし冬は必ず春となる」(1253ページ)との仰せは、夫に先立たれた妙一尼(みよういちあま)と共に、幼子たちへの励ましでもあると拝される。

 子どもは、いくらでも伸びる。劇的に変わる。
 師・戸田城聖先生は、「手のかかる子ほど立派に育つものだ。親も子も共に、大聖人の仏子である。学会の庭で子どもと一緒に伸びていこう! この一念から変わっていくんだよ」と言われていた。

 勉学の
   翼(つばさ)を広げて
     君ぞ 翔(と)べ
  未来の空に
    凱歌(がいか)の虹を

 未来部は第2代の私の手作りである。
 草創の未来部の友と「日蓮一人はじめは南無妙法蓮華経と唱(とな)へしが、二人・三人・百人と次第に唱へつたふるなり、未来も又しかるべし、是(これ)あに地涌(じゆ)の義(ぎ)に非(あら)ずや」(1360ページ)との節を学び合い、私は申し上げた。

 ―― 大切なのは1人です。1人から広がるのが「地涌の義」です。その1人になっていただきたい、と。
 いかなる時も、いずこにあっても、人の若き生命を励ませば、そこから希望の未来が生まれる。

 現代社会には、若人を惑(まど)わす悪縁が渦巻(うずま)いている。
 身近な地域にあって、1人1人を信頼の眼差(まなざ)しで見守り、温かな声をかけ、成長を願い、待ち、喜んでくれる創価家族こそ、絶対勝利への安全地帯である。

 半世紀前、未来部結成と時を同じくして渡米した母は、食事代にもこと欠く中、広布に走り抜いた。
 長男は、英語の苦手な母の通訳となり、体の不自由な弟を支えた。
 どんな苦労にも負けない母から学んだ学会精神で、勉学と活動に挑み、全米の高等部長、青年部長も務めた。周囲の激励への感謝を胸に、アメリ創価大学で英才の薫陶(くんとう)に励んでいる。

 限りない宿縁と福運に満ちた地涌の友が、澎湃(ほうはい)と世界中で躍り出る時が来た。「法華経の命を継ぐ」(1169 ページ) 誓いのリレーで、我らは断固と勝ち続ける。

 地球家族の希望の旭日たる未来部の君たち、貴方(あな)たちよ! 「広宣流布」という大願を果たし、人類の平和と幸福の朝をもたらしてくれ給え!

7月号

御書とともに! 大聖人と同心で!


   創価学会名誉会長  池田大作


 人間は、皆、幸福に輝くために生まれてきた。
 人生は、本来、不幸の闇(やみ)を打ち晴らす劇である。
 その光の源(みなもと)を、民衆はどれほど久しく追い求めてきたことだろうか。

 宿福深厚(しゅくふくじんこう)にも、我らは大仏法に巡(めぐ)りあうことができた。この生命尊厳の極理(ごくり)があますところなく説かれた「太陽の宝典」こそ、御書に他(ほか)ならない。

 日蓮大聖人は、「仏の御意(みこころ)あらはれて法華の文字となれり、文字変(へん)じて又仏の御意となる、されば法華経をよませ給はむ人は文字と思食事(おぼしめすこと)なかれすなわち仏の御意なり」(469ページ)と仰せになられた。

 御書を拝読することは、御本仏の御意を直接伺(うかが)い、大聖人の大生命にそのまま触れることなのである。

 大聖人ご自身が、ありとあらゆる三障四魔(さんしょうしま)、三類の強敵と戦われ、命に及ぶ大難を勝ち越えゆかれる渦中(かちゅう)に、一切衆生を断じて救わんとの迸(ほとばし)る大慈大悲(だいじだいひ)で綴(つづ)り残された一文また一文こそ、御書である。
 拝する我らの心も、赫々(かっかく)たる元初の朝日を浴びたように蘇(よみがえ)る。勇気が希望が、力が智慧(ちえ)が、燃え上がる炎(ほのう)の如く、生命に湧(わ)き起こってくるではないか。

 わが師・戸田城聖先生は、厳然と語られた。
 「どんな難事にぶつかっても、御聖訓の通り戦い、すべてを乗り切っていく。御書を通じて、大聖人と直結して勝つのだ。これが学会精神だよ」と。
 この御書根本の「絶対勝利」の大光(たいこう)で、我ら創価の師弟は、悩める友の心を照らし続けてきたのだ。

 嵐にも
   断じて負けぬ
     信念を
   御書をひもとく
      喜びあふれて

 病と闘(たたか)う女性門下への御手紙には、「設(たと)い業病(ごうびょう)なりとも法華経の御力(おんちから)たのもし」「いかでか病(やまい)も失(う)せ寿(いのち)ものびざるべきと強盛にをぼしめし身を持(じ)し心に物をなげかざれ」(975ページ)と激励なされている。
 誰人も避(さ)けられない「生老病死」という苦悩を、根源的に打開する道が、御書には明かされている。
 その仰せのままに励まし合い、支え合って、1人1人が変毒為薬(へんどくいやく)し、宿命転換の実証を打ち立てつつ、学会は「常楽我浄(じょうらくがじょう)」の連帯を創り広げてきたのだ。

 さらに御書は、戦乱や災害にも断固として屈することなく、平和と繁栄の社会を建設しゆく「立正安国」の法理を留(とど)めてくださっている。それは、人類を結び、新たな地球社会を導(みちび)く羅針盤らしんばん)となろう。

 紛争(ふんそう)の悲劇から立ち上がった、東欧のクロアチアでも、待望の支部が結成され、尊(とうと)き同志たちは真剣に御書を学び合い、希望の対話の花を咲かせている。
 支部のリーダーたちは胸を張る。「苦しんだ人が仏の力を最大に顕現(けんげん)でき、その国土が世界広布の模範(もはん)を示せる。私たちは、この使命を自ら選び取った地涌の菩薩です。1人の人間革命から皆の幸福を開く、一念三千の仏法に諦(あきら)めも後退もありません」と。

 「行学の二道」に励(はげ)むスクラムは、今や全世界を包み、教学試験も日本はもとより各国で行われている。
 受験する友も、応援する先輩も、溌刺(はつらつ)と求道の心で学び合い、実践に打って出よう! 今日も、御書とともに、大聖人と同心で、我らは勝ち光るのだ。

青春の宝の命を開きゆけ!
創価学会名誉会長  池田大作

 青春は「挑戦の勇気」である。いかなる試練(しれん)にも勇敢(ゆうかん)にチャレンジする。そこにこそ、青春の喜びがあり、充実があり、誇りがあると言えまいか。
 ゆえに挑戦の人は、何歳(なんさい)になろうと、青春の人だ。

 アメリカ・ルネサンスの民衆詩人ホイットマンも青年に「私は納得のいく結果が得られるまで、挑戦し、挑戦し、さらに挑戦する。そして必要ならば、もう一度、一からでも挑戦してみせる」と誇った。

 我ら創価家族は「広宣流布」という誓いを掲げ、来る日も来る日も、皆で励まし合いながら、不屈の挑戦を続けている。
 青年はもちろん、壮年も婦人も皆が一体となって、「地涌の青春」を挑み舞いゆく喜びの劇を、明るく賑(にぎ)やかに織り成していきたい。

 現実の社会には、青年から伸びやかな自信を奪(うば)い、挑戦の意欲を抑(おさ)えつけようとする障壁(しょうへき)が立ちはだかる。しかし、断じて負けてはならない。 人類の未来にとって最もかけがえのない宝、最も頼もしいエネルギーは何か。それは青年の生命だ。

 御書の「一念三千法門」には、「十人の人がいて、それぞれの蔵に宝を積んでいる。しかし気づかないまま、みすみす飢(う)えや凍(こご)えで死に瀕(ひん)する。その時、一人の賢人が宝に気づいて、そのことを皆に教えて助けていく」(413ページ、趣意)という譬喩(ひゆ)が説かれる。

 その蔵の宝とは、誰人にも具(そな)わる最も尊い生命の仏性であり、それに目覚(めざ)め、皆も目覚めさせていく賢人(けんじん)の行動こそ、仏法の発露(はつろ)である。


 勝ちまくれ
   仏の力は
     偉大なる
   広布に生き技く
      誓いの生命に

 一人ひとりの青年が、妙法を唱え、この宝の生命を開いて、自他共に最高最大に光り輝かせていく。
 ここに、創価の「人間革命」の行進がある。
 この大仏法の哲理を、一人でも多くの若人に語り、共々に胸を張り、希望と充実と栄光の人生を開拓していくことだ。そこから、家庭にも、職場にも、地域にも、若々しい創造の活力が漲(みなぎ)るからである。

 わが師・戸田域聖先生は、悪戦苦闘(あくせんくとう)する健気(けなげ)な同志を抱きかかえて激励された。
 「この世には、必ず使命があって生まれてくる」「皆、地涌の菩薩として、広宣流布を誓い願って、生まれてきたんだ。そのことがドンと腹に決まれば、いくらでも福徳を開いていけるんだよ!」と。

 草創の四国の母は高知で空襲(くうしゅう)に遭い、戦後のどん底の苦労の中で入会した。悪口罵言(あっくめり)など笑い飛ばしながら、「挑戦なくして勝利なし」と苦学を重ねて教員となった。人間教育の太陽と輝き、70代の今も青年と共に、青年のためにと対話に励んでいる。

 「今どんな姿であっても、人は変われます。私は恐れません。幸福を願い、仏法を求めてやまない、人々の本当の心の声が聞こえてくるからです」と。
 気高(けだか)き多宝の父母たちは、生命の荘厳な宝塔から「常楽我浄(じょうらくがじょう)」の香風(こうふう)で皆を包まずにはおかないのだ。

 わが後継の青年たちよ! 壮大に広がった世界192カ国・地域の誓いの友と手を携えて、人類の生命の至宝(しほう)を限りなく開いていってくれ給え!

大白蓮華 2014年(平成26年)5月号(No.774)


創価の世雄よ信心で勝て!

 

創価学会名誉会長  池田大作



 「鉄の意志を持つかぎり、逆境(ぎゃっきょう)も好機(こうき)へと転じることができる」
 これは、アフリカの人権の巌窟王(がんくつおう)マンデラ元大統領が、弾圧の獄中から愛娘へ送られた手紙の一節である。この揺るがぬ不屈の信念から、万人を包み、励まさずにはおかない笑顔が生まれたに違いない。
 
 わが尊き同志たちも、厳しき現実の社会にあって、千差万別の逆境と戦っている。
 身を切られるよう窮地(きゅうち)もあろう。一時は負けたように見えて、悔(くや)しさに血涙(けつるい)をしぼる時もある。
 しかし、仏の異名は「世雄(せおう)」。すなわち、社会で絶対に勝利しゆく大英雄である。
 この仏の大法を持った我らには、乗り越えられない苦難はないのだ。

 日蓮大聖人の御在世も、門下たちには、謹言(ざんげん)による所領(しょりょう)の没収(ぼっしゅう)や勘当(かんどう)など、社会的、経済的な危機に及ぶ圧迫が打ち続いた。

 けれども、皆が「なげきたるけしきなくて(嘆(なげ)いた様子を見せないで)」(1163ページ)、また「すこしも・ひるむ事なかれ」(1090ページ)等々の御聖訓を胸に、断固として勝利の実証を示していったのである。

 師・戸田城聖先生の事業を支えて、私も何度となく「これで万策尽きたか」という局面に立たされた。
 そのどん底からが、真の信心の戦いの始まりである。
 師子奮迅(ししふんじん)のカを奮い起こして、師をお守りし抜いた。
 我らには、一切を踏みこたえ、断固として活路を切り開いていける「法華経の兵法」があるのだ。

 乱世(らんせ)にて
  苦難に挑む
    友ありて
  希望の笑顔
   社会に満つらむ

 「大悪(だいあく)をこれば大書(だいぜん)きたる」(1300ページ)との御文を拝し、師は苦境の友を抱きかかえて激励された。    
 「妙法の力で、何百倍と変毒為薬(へんどくいやく)して、大功徳を開ける時が来たんだよ!」「最後の勝利は、苦労した人間には敵(かな)わない」と。

 どんな壁に突き当たっても、題目を唱え抜いて、智慧(ちえ)を出し、創意工夫を重ねて、粘り強く誠心誠意の努力を尽くしていくことだ。必ず必ず打開できる。
   
 なぜ、難難があるのか。永遠に仏になるためだ。
「それでも負けなかった」「それでも耐えて勝った」と、この婆婆(しゃば)世界で苦闘する友に希望と勇気の光を贈るためである。ゆえに、臆(おく)さず惑(まど)わず、迎え撃つのだ。強気で悠然と、勝ち切ってみせるのだ。
 
 草創の滋賀の夫妻は、幾度もの倒産から立ち上がり、機械一台から工場を起こした。
広宣流布の闘争からも一歩も退かず、忘恩(ぼうおん)の悪侶とも戦い抜いた。

 「恐れれば魔が笑う。創価の我らの底力を見よ!と、試練の方が音を上げるまで戦いました。労苦ただただ感謝です」 
 この偉大な父母の闘魂(とうこん)を、創価大学に学んだ子息(しそく)が立派に受け継いでいる。

 一人の勝利が職場を変える。地域を変える。
 わが友の「世雄」の大使命こそ、不況にも災害にも屈(くっ)しない、幸福と繁栄の社会を照らす太陽である。
         
 さあ今日も、金剛不壊(こんごうふえ)の信心で、題目の師子吼(ししく)を轟(とどろ)かせ、人が見ようが見まいが、大誠実の行動で悔いのない価値創造を成し遂げようではないか!

大白蓮華 2014年(平成26年)4月号(No.773)

「多宝」の賢者よ永遠に前へ!


創価学会名誉会長  池田大作


 万物は流転(るてん)する。あらゆるものが流れる川のように変化しっつ、瞬時(しゅんじ)も止まらない。その転変の中で、自他共(じたとも)の生命を、希望へ、幸福へ、平和へ、無限に前進せしめていく究極の力が、我らの信仰である。
 
 名作『大地』の作者パール・バックは、敬慕(けいぼ)する母が晩年の闘病中に語った言葉を書き留(とど)めている。
 「私の精神はまっすぐに進んで行くことを憶(おぼ)えていておくれ」「喜んで、凱旋(がいせん)するように死ぬよ」と。生老病死は誰人も避けられぬ根本の命題である。

 特に空前の高齢社会は「老い」の期間が長くなり、これまでにない課題に直面している。だからこそ、多宝会(たほうかい)・宝寿会(ほうじゆかい)・錦宝会(きんぽうかい)の皆様を中心に、我ら創価家族の新たな挑戦と開拓の使命は、一段と大きい。

 どんな財産も権力も、「老い」そして「死」という峻厳(しゅんげん)な現実の前には、儚(はかな)い幻(まぼろし)と消え去ってしまう。
 鋭く問われるのは、いかなる哲学を持ち、いかなる人生を生きてきたのか。この一点であろう。
  
 御義口伝(おんぎくでん)には、「自身法性(じしんほっしょう)の大地を生死生死(しょうじしょうじ)と転(め)ぐり行くなり」(724ページ)と仰せになられた。
    
 妙法は、永遠不滅の大法則である。なれば、妙法を唱え、広宣流布に生き抜く私たちの生命もまた、永遠不滅であり、金剛不壊(こんごうふえ)である。生の時も、死の時も、私たち自身が南無妙法蓮華経の当体として、「法性(ほっしょ)の大地」すなわち「常楽我浄(じょうらくがじょう)の大地」の上を、必ず必ず悠然と進んでいくことができるのだ。
 ゆえに、何があっても、断じて恐れることはない。


 生き生きと
  誓願の旅
   三世まで
  常楽我浄の
    道を楽しく
       
 日蓮大聖人は、齢(よわい)九十の老いたる姑(しゅうとめ)を真心込めて介護(かいご)し、その安らかな臨終を慈愛深く看取(みと)った富木常忍(ときじょうにん)の夫人を最大に労(ねぎら)い、讃えてくださっている。

 看病の辛労(しんろう)もあったのであろう、夫人は自らも大病との闘いが続いた。しかし負けなかった。
 大聖人は、「我れ等は仏に疑いなしとをぼせば・なに(何)のなげき(歎)か有るべき」(976ページ)と励まされた。

 長年、信心してきたのに、なぜ自分が病気になるのか、なぜ家族の介護が必要になるのか、などと思い歎く必要は全くない。一切が「転重軽受(てんじゅきょうじゅ)(動きを転じて軽く受く)であり、「変毒為薬(へんどくいやく)」できる。

一つ一つ力を合わせ、信心で勝ち越えていく中で、家族が共に仏になる道が深く大きく開かれるのだ。
 
 あの岡城址(おかじょうし)で一緒に「荒城の月」を歌った大分の多宝会の母は、多くの友人の幸せを願う宝友帳を抱えて、今も元気いっぱいに対話を重ねている。
          
 「広宣流布のために生まれてきた私です。辛いことも、悲しいことも、すべてが使命とわかれば、感謝の涙が溢(あふ)れてなりません。心の財(たから)で勝ちます」と。
       
 わが学会員が、確信に満ちて、生命の宝塔(ほうとう)を輝かせながら、大歓喜の人生を総仕上げしゆく姿こそ、長命を寿(ことほぐ)ぐ幸齢社会(こうれいしゃかい)への何よりの光明であろう。

 恩師・戸田城聖先生は、「烈風(れっぷう)の中を、にっこり笑って、最後の日まで戦え!」と叫ばれた。
 
 「多宝」の賢者(けんじゃ)のわが友よ、永遠に希望に燃えて、一緒に前へ前へ、進みゆこうではないか!

大白蓮華 3月号 巻頭言

座談会で蘇る!座談会で勝ち開く!



創価学会名誉会長  池田大作



 いにしえのシルクロードの大詩人で、わが創価大学に立像のあるナワイーは勇壮に詠(うた)った。
 「汝(なんじ)よ、信じ給え。困難において力となる真の友がいる限り、どんな不幸も乗り越えられることを」
  「心から歓喜しょう。汝が友に囲まれている時は」と。
 いかなる苦難も、共に励まし、共々に勝ち越え、人類をつなぐ「精神のシルクロード」を切り開いてきたのが、創価人間主義の大連帯である。

 思えば、険しい砂漠の道のりが続くシルクロードは、命を潤(うるお)す泉の湧(わ)くオアシスで結ばれていた。
 孤独(こどく)や不安など、心の砂漠が広がった現代社会にあって、我らは「座談会」という生命のオアシスをたゆまず創りながら、快活に進みゆくのだ。

 仏法は「対話」の宗教である。
  法華経の序品第一も、「如是我聞(にょぜがもん)」(是の如きを我れ聞きき) の一節から説き起こされた。経典は、釈尊を中心とした壮大な座談会の記録ともいえまいか。
             
 日蓮大聖人は、さまざまな友を包容しつつ対話を重ねる女性リーダーヘ、「此の経をきく人は一人もかけず仏になる」(1319ページ)と仰せになられた。
 そして須弥山(しゅみせん)に近づく鳥が、みな金色に輝くように、誰人であれ、妙法の世界に嫁すれば、仏の生命を輝かせていくことができる、と示されている。

 この法理に則(のっと)り、集い来る人々が生命を蘇(よみがえ)らせ、自他共(じたとも)に最極(さいごく)の幸福境涯を勝ち開いていく、希望と信頼の「黄金の会座」こそ、座談会なのである。

わが地域
  希望の座談で
    照らしゆlけ
   不屈の友の
    寺の笑顔よ

 戦時中、特高警察(とっこうけいさつ)の陰険(いんけん)なる監視(かんし)にも怯(ひる)まず、師子王(ししおう)の如く座談会を断行された牧口・戸田両先生が、一番大切に尊ばれたのは、体験談であった。
   
 「道理証文(どうりしょうもん)よりも現証(げんしょう)にはすぎず」(1468ページ)
 いずこの天地の座談会でも、功徳の体験が生き生きと語られている。ここにこそ、何ものにも勝る「信心即生活」「仏法即社会」の偉大な実証があるのだ。

 恩師は、座談会に常に真剣勝負で取り組まれた。
 「座談会は、仏と仏の集まりである。この崇高な集いから、あらゆる宿命を打ち破る力が湧き起こる。広布の未来を担い立つ地涌の人材も必ず現れる」と。
 会場を提供してくださる創価の長者の御家庭にも、私たちは、あらためて心からの感謝を捧げたい。

 今や、「ザダンカイ」は世界語となった。
 長年の紛争(ふんそう)に苦しんできた国土でも、友は平和への深き真剣な祈りを込めて、和楽の座談会を行っている。
 先日、フィリピンSGIのヒサコ・アルカンタラ理事長が、昨年の台風で甚大な被害を受けたレイテ島オルモック市の座談会の様子を報告してくれた。
 まだ電気の復旧していないお宅に10人を超す新来者も参加され、一切を変毒為薬(へんどくいやく)しながら復興へ前進するメンバーの大確信にふれ、入会を決意される方が相次ぎました。フィリピンは断じて負けません、と。
 
 座談会がある限り、我らは何ものにも屈(く)しない。
1回1回の充実の座談会から、生まれ変わった生命の息吹で、仲良く朗(ほら)らかに価値創造の行進を!

巻頭言 大白蓮華2月号

誓いの「初心」忘るべからず


創価学会名誉会長  池田大作



 人間は、皆、幸福になる力をもって生まれてきた。
 どんな試練にも打ち勝つ力をもって生まれてきた。
 このカを解き放つために、哲学があり、信念がある。
 アメリカ・ルネサンスの哲人エマソンは、「動かざる中心をもつ者こそ英雄」と語った。
 正しき信仰という究極の「動かざる中心」をもつ創価の友は、まぎれもなく「人間の英雄」である。

 日蓮大聖人は、「法華経を信ずる凡夫は、初心の時より、わが身が妙法蓮華経であると知ることができるゆえに、即身成仏(そくしんじょうぶつ)し、金剛不壊(こんごうふえ)の体となるのである」(568ページ、趣意)と仰せになられた。
 ひとたび妙法を信受した「初心」から幸福と勝利を創造する無窮(むきゅう)の生命力が満ち溢(あふ)れていくのだ。

 草創期、戸田城聖先生は、家族の反対や周囲の悪口の中、入会した健気な同志を励ましてくださった。
 「焦(あせ)らずともよい。信心は『無上の幸福学』だ。『究極の勝利の軌道』だ。『平和の大道』である。絶対に間違いのない大法に巡り合えたのだ。生涯を賭(か)けて悔(く)いのない道を見つけた人間は強いぞ!」と。
 
 法華経には「五十展転(ごじゆうてんでん)」の功徳が説かれる。妙法を聞いて随喜(ずいき)した人が、友に語り伝える。その友が次の友に喜び伝える。そうして50番目に聞いて喜ぶ人の功穂でさえ、無量無辺である。いわんや、最初の随喜の人の功徳は比べようがないというのだ。
 わが学会は「まさに初心の友が喜び勇んで仏法を語りゆく歓喜の波動で、広布の勢いを加速してきた。

 新しき
   勝利の道を
    走りゆけ
  随喜の我らは
     元初の同志と
 
 貴重な統監(とうかん)を振り返れば、恩師の75万世帯の願業が成就した昭和32年師走、実に8割の会員が入会3年以内というフレッシュな連帯であった。

 そうした一人である山口県の母は、妙法に出合え喜びの初心を、水の流れるごとく貫いてこられた。
 忘恩の悪侶の迫害にも断じて屈しなかった。経済苦も乗り越え、保育園の園長として信頼を広げてきた。
 今も一家で折伏を重ねて、新入会の友たちを大切に励まし、みなを立派な人材へ育成されている。
 母は語る。「苦しんだ人が一番幸せになり、大勢の人を救っていける。この信心を教えてくれた学会が大好きです。『一は万が母』 新しい一人を育てることは人材の万軍をつくることに通じます」と。

 今、嬉しいことに、新入会の宝友が日本中、世界中で、続々と誕生している。一人一人が久遠からの不思議なる宿縁で結ばれ、「今この時」を誓願して躍(おど)り出た、尊き尊き地涌(じゆ)の菩薩である。
 早速、教学の任用試験に挑戦し、仏法対話を開始した友も多い。この瑞々(みずみず)しい初心の息吹(いぶき)こそが、「世界広布新時代」を開く希望の原動力なのである。

 価値ある人生は、惰性(だせい)との戦いだ。「初心」忘るべからず ここに、不退の人生の鉄則がある。
 我らは題目の音声(おんじょう)とともに、常に久遠元初(くおんがんじょ)の生命に立ち返り、広宣流布を誓う「初心」から出発する。
 創価家族の宝である新入会の友と、一緒に祈り、学び、語りながら、師弟の2月を歓喜で飾りゆこう!