大白蓮華 2016年(平成28年)5月号(No.799)
創価学会名誉会長  池田大作

地涌の若人と常勝歓喜の舞を!

 いかなる試練(しれん)の時代、いかなる苦難(くなん)の社会にも、生命尊厳の希望の哲理(てつり)を掲(かかげ)げ、正義のため、民衆のため、平和のため、喜(よろこ)び勇(いさ)んで戦おうではないか!

 時を超え、国を超えて、「法華経(ほけきょう)」が呼びかけてやまない、この魂のメッセージに応えて立ち上がった「地涌の菩薩」の群像(ぐんぞう)こそ、わが創価学会である。
 日蓮大聖人の仰せの如く、一閻浮提(いちえんぶだい)が打ち乱れる闘諍(とうじょう)の只中(ただなか)で、牧口常三郎先生、戸田城聖先生は、身命(しんみょう)を賭(と)して広宣流布の道を開いてくださった。

 両先生が最大に信じ期待されたのは、青年である。
青年にこそ、強く正しく清らかな地涌の生命が躍動するからだ。創価の師弟が広げてきた「歓喜踊躍」(かんき)の青春の舞は、今やこの地球を包み始めている。

 地涌の若人の涌出(ゆじゅん)は、待つものではない。先頭に立って呼び出すのだ。一緒に戦い、育て鍛(きた)えるのだ。
 思えば、大聖人御自らが、こよなく青年を慈(いつく)しまれ、相次(あいつ)ぐ法難(ほうなん)の中で、薫陶(くんとう)し、鍛錬(たんれん)なされていた。

 ある年の5月3日、若き南条時光(なんじょうときみつ)へのお手紙には、「大事だと思っている人たちが信心を制止し、大難が来る時がある。その時こそ、まさに諸天(しょてん)の守護(しゅご)が厳然と現れると確信し、いよいよ強盛に信心に励んでいきなさい」(1512ページ、趣意)と仰せである。
 吹き荒れる烈風(れっぷう)に怯(ひる)まず、勇敢(ゆうかん)に思い切って広布の大願に挑みゆく若人の色心(しきしん)には、妙法と一体不二(いったいふに)の無限のエネルギーが漲(みなぎ)るのだ。その正義の丈夫たち、乙女たちを、仏天は必ずや守らずにはおかない。

 わが胸に
  広布の炎(ほのお)は
   烈々(れつれつ)と
   地涌の誓いを
     青年(きみ)と果(は)たさむ


 60年前、愛する関西の天地で、私は、いまだ入会まもない青年たちと、新たな民衆勝利の歴史を開きゆかんと、未聞の拡大に挑戦していった。
 私はリーダーに語った。「一人の百歩前進も尊(とうと)いが、それ以上に百人の一歩前進こそ大切だ。そのためにも、一人一人の名前を思い浮かべて祈ろう」と。
 この時、共に奮闘(ふんとう)した兵庫の青年は、口下手に悩み、夜遅く郵便ポストを相手に対話の練習を重ねた。
 そうした誠実な努力を私は讃えた。「一人の青年にここまで」という学会の励ましに涙した彼は、恩返しの心で一生涯、後輩を大切に励まし抜いてくれた。
 「信心で人生が変わる——この溢(あふ)れんばかりの歓喜で活動して、結果が出ないわけがありません」と。

 「広宣流布」「立正安国」は、人間群に飛び込み、現実の社会を変えていく大闘争である。その行動の中で、一人一人の「人間革命」の歓喜の劇が広がる。
 女子部の友が研鑽(けんさん)する華陽会御書30編の一つ、一生成仏抄には、「皆我(みなわ)が一念(いちねん)に納(おさ)めたる功徳善根(くどくぜんこん)なりと信心を取るべきなり」(383ページ)と記される。
     
 仏道修行(ぶつどうしゅぎょう)は人の何倍も忙(いそが)しく苦労も多い。心ない悪口を浴びせられることも、人知れず悔(くや)し涙を流すこともある。しかし、だからこそ、無量無辺(むりょうむへん)の「心の財(たから)」が積まれ、福徳は計(はか)り知れないのだ。

 創価の民衆運動は、金剛不壊(こんごうふえ)の信念を持つ地涌の人材を、社会へ世界へ未来へ送り出す大地である。
 さあ、若人(わこうど)と共に、若人の心で、常勝歓喜(じょうしょぅかんき)の舞(まい)を!