大白蓮華 3月号 巻頭言

座談会で蘇る!座談会で勝ち開く!



創価学会名誉会長  池田大作



 いにしえのシルクロードの大詩人で、わが創価大学に立像のあるナワイーは勇壮に詠(うた)った。
 「汝(なんじ)よ、信じ給え。困難において力となる真の友がいる限り、どんな不幸も乗り越えられることを」
  「心から歓喜しょう。汝が友に囲まれている時は」と。
 いかなる苦難も、共に励まし、共々に勝ち越え、人類をつなぐ「精神のシルクロード」を切り開いてきたのが、創価人間主義の大連帯である。

 思えば、険しい砂漠の道のりが続くシルクロードは、命を潤(うるお)す泉の湧(わ)くオアシスで結ばれていた。
 孤独(こどく)や不安など、心の砂漠が広がった現代社会にあって、我らは「座談会」という生命のオアシスをたゆまず創りながら、快活に進みゆくのだ。

 仏法は「対話」の宗教である。
  法華経の序品第一も、「如是我聞(にょぜがもん)」(是の如きを我れ聞きき) の一節から説き起こされた。経典は、釈尊を中心とした壮大な座談会の記録ともいえまいか。
             
 日蓮大聖人は、さまざまな友を包容しつつ対話を重ねる女性リーダーヘ、「此の経をきく人は一人もかけず仏になる」(1319ページ)と仰せになられた。
 そして須弥山(しゅみせん)に近づく鳥が、みな金色に輝くように、誰人であれ、妙法の世界に嫁すれば、仏の生命を輝かせていくことができる、と示されている。

 この法理に則(のっと)り、集い来る人々が生命を蘇(よみがえ)らせ、自他共(じたとも)に最極(さいごく)の幸福境涯を勝ち開いていく、希望と信頼の「黄金の会座」こそ、座談会なのである。

わが地域
  希望の座談で
    照らしゆlけ
   不屈の友の
    寺の笑顔よ

 戦時中、特高警察(とっこうけいさつ)の陰険(いんけん)なる監視(かんし)にも怯(ひる)まず、師子王(ししおう)の如く座談会を断行された牧口・戸田両先生が、一番大切に尊ばれたのは、体験談であった。
   
 「道理証文(どうりしょうもん)よりも現証(げんしょう)にはすぎず」(1468ページ)
 いずこの天地の座談会でも、功徳の体験が生き生きと語られている。ここにこそ、何ものにも勝る「信心即生活」「仏法即社会」の偉大な実証があるのだ。

 恩師は、座談会に常に真剣勝負で取り組まれた。
 「座談会は、仏と仏の集まりである。この崇高な集いから、あらゆる宿命を打ち破る力が湧き起こる。広布の未来を担い立つ地涌の人材も必ず現れる」と。
 会場を提供してくださる創価の長者の御家庭にも、私たちは、あらためて心からの感謝を捧げたい。

 今や、「ザダンカイ」は世界語となった。
 長年の紛争(ふんそう)に苦しんできた国土でも、友は平和への深き真剣な祈りを込めて、和楽の座談会を行っている。
 先日、フィリピンSGIのヒサコ・アルカンタラ理事長が、昨年の台風で甚大な被害を受けたレイテ島オルモック市の座談会の様子を報告してくれた。
 まだ電気の復旧していないお宅に10人を超す新来者も参加され、一切を変毒為薬(へんどくいやく)しながら復興へ前進するメンバーの大確信にふれ、入会を決意される方が相次ぎました。フィリピンは断じて負けません、と。
 
 座談会がある限り、我らは何ものにも屈(く)しない。
1回1回の充実の座談会から、生まれ変わった生命の息吹で、仲良く朗(ほら)らかに価値創造の行進を!