大白蓮華 2015年(平成27年)8月号(No.789)

「行学」は幸福常勝の翼なり
創価学会名誉会長  池田大作

 わが地区は、何と偉大な哲学者の集いであろうか。どんな試練にも、たじろがない信念の哲人がいる。どんな悩める友にも、希望を贈る対話の達人がいる。どんな難局にも、活路を開く勇気の賢人がいる。
 御書を根本として、庶民の大地に生命尊厳の大哲学の連帯を広げてきたのが、創価学会である。日々、行学の二道に励む学会活動は、民衆が幸福と平和の智慧を磨(みが)き、現実の社会で価値創造しているのだ。


 アメリカ実践哲学協会の会長であるマリノフ博士は、私との対談で、「仏法は、人間の可能性を活性化し、人生をより良い方向に変革し、そして建設的な環境をもたらす方途を、私が知っているどんな哲学よりも数多く提供してくれます」と語っておられた。


 世には興味本位や悪意と邪見(じゃけん)の文言が渦巻いている、人を誑(たぶら)かし、不幸へ引きずりこむ悪知識は多い。
 その中にあって、御書という最極の明鏡(みょうきょう)に照らせば、常に生命を正視できる。揺るぎなき生命観、人生観、社会観、宇宙観に立って、一切を正しく見晴らしていくことができる。
 信心の利剣(りけん)で悪縁(あくえん)を断ち切り、惑(まよ)いなく常楽我浄(じょうらくがじょう)の正道を進んでいけるのだ。

 御書をひもとくことは、日蓮大聖人の御境涯を、直接、拝することに他ならない。閉ざされた小さなカラを破って、広々とした境涯が開かれる。それは、久遠元初の太陽の如く、御本仏の大生命から放たれる光線を、我らの色心いっぱいに浴びていくことである。


大聖人は、ある御返事の結びに、「此(こ)の書は弘通(ぐつう)の志有(こころざしあ)らん人に取っての事なり」(御書1357ページ)と仰せになられた。大聖人が掲げられた広宣流布誓願に立つ人こそ、御書の真の意義を会得できるのだ。

その通り身読してきたのが、牧口常三郎先生、 戸田城聖先生である。そして、我ら創価の師弟である。
 戸田先生は、「絶対なる大聖人の確信と情熱とにふるるとき、信心の火が、いやがうえにも、燃えあがるのを、感ぜざるをえない」と叫ばれた。

 ここに、学会教学の根幹の大精神がある。広布の戦いの中で、御書を声に出して拝読すれば、御金言の師子吼(ししく)が、わが命に強く熱く共鳴し、満々たる仏の力が胸奥(きょうおう)から込み上げてくるではないか。世界の地湧の同志も御書を学び、実践している。

 教学研鑽(けんさん)を機に、文字を覚えた尊き求道の友もいる、
南米アルゼンチンの青年部リーダーは語る。
「運命や環境に翻弄(ほんろう)される現実を 『自分の手で変革できる』 との仏法の教えは、若者に強い感銘を与えずにはおきません」「自身の人間革命を通して、国土の宿命転換を担うのが、我ら青年の使命です」


 大仏法を共に探究(たんきゅう)する青年の連帯には、あらゆる差異を超えて、世界を結ぶ平和創出の力がある。
 「行学の二道」こそ、全人類の心を限りなく高く飛翔(ひしょう)させゆく幸福常勝の翼である。

 さあ今日も、御聖訓の一節を心に刻み、行学の翼を広げながら、朗らかに勝利の大空へ舞いゆこう!

 妙法は
  不幸を断ち切る
   宝剣(つるぎ)なり
  正義の極理
    学び 掲げよ