大白蓮華 2015年(平成27年)7月号(No.788)
常楽我浄のスクラム明るく!
創価学会名誉会長  池田大作

 大いなる人生には、必ず、大いなる試練が立ちはだかる。大いなる試練に立ち向かうからこそ、大いなる境涯が開かれていくことを忘れまい。
 妙法の信仰とは、その究極の希望の力である。
法華経研究の母」と謳(うた)われるロシアのヴォロビヨヴァ博士は語られている。
「人生がどんな困難や苦しみを人間に与えようとも、法華経の教えに従っていくならば、恐怖なく、堂々と乗り越えていけるのです」と。


 時代は空前の少子高齢社会に入り、これまで以上に「生老病死」の苦悩がクローズアップされている。
 それを根本的に打開しゆく「常楽我浄」の智慧を、私たちはいよいよ力を合わせて発揮していきたい。
 みな、生身の体だ。自分自身や家族が、思いもよらない病や、厳しい老いの現実に直面する時もある。

 しかし日蓮大聖人は、門下の病気を「我身(わがみ)一身の上(うえ)とをもひ」(御書978ページ)、平癒を祈ってくださった。法華経の「閻浮提(えんぶだい)の人の病の良薬なり」(同985ページ)との経文を通されて、励ましてもおられる。

 この御本仏のお心に則(のっと)り、我らは最極の良薬たる題目を唱え、互いに支え合い、守り合っていくのだ。

 御文には「一日の命は三千界の財(たから)にもすぎて候なり」「而(しか)して法華経にあわせ給いぬ一日もい(活)きてをはせば功徳つもるべし」(同986ページ)とも仰せである。

 病は病のまま、老いは老いの姿で、妙法と共に、同志と共に生き切る一日に、無量の福徳があるのだ。
 
先師・牧口常三郎先生は、目が不自由だった養母を介護されていた。先生が自ら背負ってお風呂場へ連れて行き、入浴の手伝いもされたという。
 この人間愛の深さと、いかなる迫害にも屈しない師子王の強さとを、創立の父は併(あわ)せ持たれていた。
 病気や高齢の家族を抱きかかえながら、広宣流布へと打って出る行動がいかに尊いか。その労苦は、わが家みんなの「心の財(たから)」と積まれ、その慈愛のチームワークは、地域の希望のモデルと光る。
 
 四国の多宝の母は、母と姑(しゅうとめ)の介護に献身してきた。悪侶の迫害、自らの闘病、親孝行な子息との死別などが相次ぐなか、夫妻で「毎日、一歩でも一ミリでも進もう」と決めて、学会活動を貫き通してきた。
 今、勝利の母は「全部、妙法の力を示すための苦難だったと感謝の涙が出ます。苦労した分、どんな人にも信心を伝え、幸せになってほしい」と微笑む。
「生命の世紀」を開拓するドクター部の同志も、慈悲の看護を体現する「白樺」の友も、介護や福祉に新風を送る妙護グループの若人も、誠に頼もしい。

 ヴォロビヨヴァ博士は、「法華経寿量品」の結びの「毎自作是念(まいじさぜねん)」から「速成就仏身(そくじょうじゅぶっしん)」までの経文は、「どうすれば民衆を成仏させることができるのか」との仏の問いかけであると強調されている。
 我ら創価家族は、今日も、この問いに、生命力を満々と、広布に生き抜く姿で答えていきたい。生死(しょうじ)を超えて結ばれた「常楽我浄」のスクラム明るく!

 慧光照(えこうしょう)
  寿命無数(むしゅ)の
   生命(いのち)なば
  今日も無量の
    功徳 積みゆけ