大白蓮華10月 巻頭言

大白蓮華 2013年(平成25年)10月号(No.767)

 一人が変わる! 一人から変わる!

最も深い苦悩の闇から立ち上がった人間の魂が、最も明るい星シリウスの如く輝きわたる地球を!
 これは、ブラジルの天文学者モウラン博士と語り合った夢である。

 いかに時代が進展しようとも、「生老病死」という人生の本源的な苦しみは、決して変わらない。
 悩みのない人など、どこにもいないであろう。皆それぞれに、何らかの宿命との戦いがある。
 しかし、どんな悲嘆であれ、どんな絶望であれ、断じて打ち破る希望の光が、わが生命にはある。
 その光を、一人が勇気をもって輝かせ、そして、2人、3人、100人と光を増して、世界まで照らし晴らす道を教えてくださっだのが、日蓮仏法である。

 御聖訓には、「今法華経と申すは一切衆生を仏になす秘術まします御経なり、所謂(いわゆる)地獄の一人・餓鬼の一人・乃至(ないし)九界の一人を仏になせば一切衆生・皆仏になるべきことはり顕(あらは)る」(1046ページ)と説かれる。

 誰人も必ず仏になれる。仏の生命を勝ち開ける。
 国籍も、民族も、境遇も、一切の差異を超えて、「平等大慧(びょうどうたいえ)」の妙法には、一人の例外もない。
  一切衆生、すなわち全人類に、これほど広々と開かれた大哲理があろうか。
 題目の音律とともに一人の生命が蘇る。その一人から、家庭も、地域も、社会も蘇生していくのだ。
 この「人間革命」の喜びの波動を、我ら創価の師弟は、世界192力国・地域へ広げてきた。

 閻浮提
  慈折広布の
     大願を
   断固 果たさむ
     我らの誉れよ

 大聖人は、「総じて日蓮が弟子檀那等・自他彼此(じたひし)の心なく水魚(すいぎょ)の思(おもい)を成して異体同心(いたいどうしん)にして南無妙法蓮華経と唱え奉る処を生死一大事の血脈とは云うなり」(1337ページ)と仰せになられた。

 この御金言の通り、世界中の同志が信じ合い、励まし合い、皆で幸福と平和を勝ち取っていく奇跡の連帯こそ、SGI(創価学会インタナショナル)なのだ。

 アフリカのトーゴで、慈愛の産婦人科医として幾多の生命を守り育みながら、広布の一粒種となって戦ってきた母がいる。夫の大病や自身の死産など、打ち続く試練も、祈り勝ち越え、友を励ましてきた。
 「信心の一番の功徳は、勇気です。何も怖くなくなったことです」と、太陽の微笑みを浮かべる。

 「アフリカを『希望の大陸』と輝かせるために、題目を唱える人を一人でも増やしていきたい」──こうした草創の母たち、父たちの願いに応え、21世紀の大陸で後継の若人が続々と躍り出て、広大な天地を走り語り、地涌スクラムを拡大している。

 今、地球のいずこでも、創価の青年の真剣な、確信漲る対話の声が、いよいよ高鳴る時代に入った。

 わが師・戸田先生の言葉が思い起こされる。
 「牧口先生は民衆の中に飛び込み、地道に座談会を重ねて、一人一人の苦悩の打開に力を注がれた。これが、学会の誇り高き栄光の歴史なのだよ」
 一人が変わる。一人から変わる。この最も確実な広宣流布の王道へ、今日も心勇んで挑戦したい。
                          2013-10 No,767