大白蓮華 2013年(平成25年)3月号

大白蓮華 2013年(平成25年)3月号(No.759)


巻頭言 若き友よ、頭を上げよ胸を張れ!


 創価学会名誉会長 池田大作



 わが敬愛(けいあい)するアフリカの人権の大英雄マンデラ元大統領が、10代の若き日、心に刻(きざ)まれた指針がある。
 「勇気をもって立ち向かえ」との教訓である。

 何か問題が起こった時、臆(おく)して逃げてしまえば、いつまでも引きずられてしまう。だからこそ、勇敢(ゆうかん)に向き合って、聡明(そうめい)に対処していくのだ、と──。
 我ら創価の若人の心意気と、何(なん)と響き合う信条(しんじょう)か。 
 マンデラ元大統領が、27年半もの獄中闘争を勝ち越えて来日された折、情熱みなぎる学会青年部の歓迎を何よりも喜ばれていた、あの会心の笑顔が蘇(よみがえ)る。

 いつの時代も、青年を押しつぶそうとする困難は容赦(ようしゃ)なく立ちはだかる。しかし、何ものにもつぶされない、一切をはね返していく力が、青年にはある。
 その最強の希望の力を、自他共(じたともに)に思う存分、生命の大地から湧(わ)き上がらせ、濁悪(じゃあく)の世を照らし晴らしていくのが、法華経に説かれる「地涌の菩薩」だ。

 師・戸田城聖先生は、第2次世界大戦後の廃墟(はいきょ)に一人立たれ、道に迷う青年たちに明確なる指標を示してくださった。先生は、よく言われた。
 「皆、今世に果たすべき、大いなる使命と力を持って生まれてきた地涌の菩薩だ。その自分を信じ、徹して強気でいけ! 勝負は、悪戦苦闘の一日一日を耐え抜き、勝ち抜いていく絶対の粘(ねば)りだよ!」と。

 この若き生命への全幅の信頼と、限りない励ましに満ちた創価の庭から、どれほど多くの青年が奮起(ふんき)し、価値ある青春の劇が生み出されてきたことか。


 広宣の
  使命に生きゆく
   青年よ
  父母守りて
    強く勝ち抜け


 日蓮大聖人は、「仏法は体(たい)のごとし世間(せけん)はかげのごとし体曲(たいまが)れば影(かげ)ななめなり」(992ページ)と仰せになられた。
 正しき思想・哲学は、人生にあっては「鋼の背骨(せぼね)」であり、社会にあっては「黄金の柱」といってよい。

 一人の青年が、妙法という「生命の尊厳」の究極(きゅうきょく)の法理を持ち、立ち上がるならば、家庭も、職場も、地域も、そこから必ず大きく変わっていく。ゆえに青年に仏法を語り、仏縁を広げゆくことほど、地道にして確実な「幸福」と「平和」の王道はないのだ。

 60年前、恩師の命を受け、青年拡大の指揮を執(と)る私と同じ心で、埼玉の同志も奮起してくれた。皆、それぞれの悩みと戦いながらも、「青年の本領は突破力 だ。一対一の誠実な対話に限界はない」と奔走(ふんそう)した。

一緒に友人を招いて、体験を語り合い、清々しい入会の決意の花を咲かせた座談会も「今生人界(こんじょうにんかい)の思出」 (467ページ)である。この年を、見事なる大拡大で飾ってくれた埼玉の若き友たちの晴れがましい勝利の笑顔を、どうして忘れられようか。

 そして今、わが後継の宝の青年たちが、新時代の広宣流布の躍進(やくしん)に挑(いど)んでいる。一人一人が計(はか)り知れない宿縁と福運をもって、この時に躍(おど)り出た偉大な地涌の菩薩である。私は最敬礼の心で見つめている。

 若き友よ、頭を上げよ胸を張れ! 勇気ある信心で眼前の試練に立ち向かってくれ給え! 君たちの不屈(ふくつ)の挑戦こそ、新たな地球社会の希望なのである。