大白蓮華 2015年(平成27年)12月号(No.794)

『心こそ大切』のチームワークを!

創価学会名誉会長  池田大作

 世界的に名高い外科医の友に、大手術を成功させる心構えを尋ねたことがある。答えは明快(めいかい)であった。
『チームワークです!』
 とりわけ、陰で支えてくれるスタッフと心を一つにして、皆でベストの力を出し切ることである、と。
 これは、万般に通ずる勝利の鉄則であろう。
 この一年も、わが創価家族は『異体同心』という最極のチームワークで、大法弘通(だいほうぐつう)〈注:正法を広めゆくこと〉に邁進してきた。

『誠心誠意を尽くした仕事は満足をもたらし、そこに悔(く)いはない』と、マハトマ・ガンジーは語った。
 自らの悩みや課題を抱えながらも、法のため、人のため、社会のため、陰の労苦を惜(お)しまず奮闘を続けてくれる尊き宝友に、私は感謝の宝冠を捧(ささ)げたい。

 広宣流布の勝利島の原点たる佐渡の地にあって、日蓮大聖人にお仕えし、流罪を勝ち越えられた後も、師弟の道を貫き通したのが、阿仏房(あぶつぼう)と千日尼(せんにちあま)である。

 夫妻は『にくまばにくめ』〈御書 1308ページ〉と、障魔(しょうま)の烈風(れっぷう)の矢面(やおもて)に立って北国の一門を守り抜いた。心揺れる後輩も包容(ほうよう)し、温かく励ましながら、阿仏房は、大聖人のもとに、幾度となく馳(は)せ参じたのである。

 大聖人は、夫を送り出した千日尼に仰せられた。
『御身は佐渡の国にをはせども心は此(こ)の国に来れり、仏に成(な)る道も此(か)くの如し、我等は穢土(えど)に候(そうら)へども心は霊山(りょうぜん)に住(すむ)べし』〈1316p〉と。
 会わなくとも、貴女の命はここに届いています。私たちの心は、いつも一緒に常寂光(じょうじゃっこう)の都にあります。

 すべてを包まれる御本仏の仰せである。健気な婦人部、女子部をはじめ、わが創価家族を照覧(しょうらん)してくださっている御心と拝されてならない。
 昭和31年、あの大阪の戦いも、皆で心の境涯を明るく大きく開きながらの楽しき前進であった。

 夫を戦争で失い、魚の行商をして、懸命に家族を支える母がおられた。私がユーモアを込め『一畳あれば、勤行も対話もできます』と励ますと、『うちは四畳半もあるから大宮殿や!』と笑顔を輝かせて、ますます元気に広宣流布へ飛び回ってくれた。
 やがて広くなった新居も会場とされ、多くの青年リーダーを育てていかれた。後継の御一家には、今も『お母さんのお陰で』と感謝が寄せられる。

 御聖訓には『凡夫(ぼんぷ)は志(こころざし)と申す文字を心へて仏になり候なり』〈1596ページ〉と結論されている。

 心がいずこに向かっているか。妙法と共に、師弟と共に、同志と共に、慈折広布(じしゃくこうふ)を目指しゆく心は、そのまま大宇宙の仏界の次元に必ず必ず達する。

 この仏法の極意(ごくい)に立てば、何も嘆(なげ)くことはない。たとえ若い時のようには体が動かなくとも、同志や後輩たちに題目を送る多宝の友は、仏意仏勅(ぶついぶっちょく)の学会の城で、無量の『心の財(たから)』を自在に積んでいるのだ。

『見えないところで戦う同志を最大に尊敬し、心を配っていく。これが学会精神だよ』。この恩師の指導を忘れず、『心こそ大切』のチームワークで、いやまして仲良く朗らかに勝ち進んでいこう!


  偉大なる
   広布の貢献
     陰徳に
    無量の陽報   
     三世に輝け