大白蓮華 2015年(平成27年)11月号(No.792)

母の讃歌を!女性の凱歌を!

創価学会名誉会長  池田大作

 尊(とうと)き婦人部・女子部の健闘を伺(うかが)う度に、私は思う。
 日蓮大聖人は、いかばかり喜ばれ、この女性たちをどのように讃(たた)え、励(はげ)ましてくださるであろうか、と。

 御義口伝には、「大悲(だいひ)とは母の子を思う慈悲の如し今日蓮等の慈悲なり」(721ページ)と仰せである。

 仏法の根本の慈悲(じひ)を「母の心」に譬(たと)えられている。
 この母の心が、平和・文化・教育を推進(すいしん)する創価人間主義の中心にある。だからこそ、学会のスクラムは、限りなく温(あたた)かく、そして明るいのだ。
 生命を慈しみ、人ひとりを大切にする母たち、女性たちの笑顔が最も歓喜(かんき)に輝きわたる世紀を創(つく)る――ここに、人類の境涯(きょうがい)を開きゆく、我らの「広宣流布」「立正安国(りっしょうあんこく)」の実像があるといってよい。

 法華経の宝塔品(ほうとうぼん)の会座(えざ)には、荘厳(そうごん)にして壮大なる七宝(しっぽう)の塔を中心に、多宝如来(たほうにょらい)・釈迦如来(しやかにょらい)・十方の諸仏(しょぶつ)・一切の菩薩が集まっておられた。
 この宝塔品の世界とは、只今いずこにあるのか。
       
 大聖人は、門下の女性に明快(めいかい)に示しておられる。
 「日女御前(にちにょごぜん)の御胸(おんむね)の間・ハ葉(はちよう)の心蓮華(しんれんげ)の内におはしますと日蓮は見まいらせて候」(1249ページ)と。

 おとぎ話のような素晴らしいロマンの宇宙が、他のどこでもない、妙法と共に生きゆく女性の胸中に、晴れ晴れと広がっている。
 断じて不幸に負けない仏の勇気も、縁する友どちを幸福へと導く仏の慈悲も、今いる場所から平和を創(つく)り広げる仏の智慧(ちえ)も、全部、貴女の心にあると、教えてくださっているのだ。

 にぎやかに
  対話の百花(ひやっか)
   咲かせゆけ
  友の生命(いのち)の
    奥まで照(て)らして

 この。希望の大発見を、創価の女性たちは自らの生命を宝塔(ほうとう)と輝(かがや)かせて立証(りっしょぅ)してきた。

 1964年の12月2日、沖縄で小説『人間革命』を書き起こした日、私は、ある御一家に励ましを贈った。夫妻で目が不自由な中、難病のお子さん方を育てつつ、信心を貫(つらぬ)いていた御家族である。
 偉大な母は同志と手を取り合い、弘教(ぐきょう)に挑(いど)んだ。
悩みを抱えて自宅に駆(か)け込んでくる友とも、一緒(いっしょ)に涙し題目を唱え抜き、一つ一つ宿命転換(しゅくめいてんかん)していった。

 今、社会で勝ち光る後継の巻属(けんぞく)に包まれ、母は語る。
 「障害(しょうがい)も悪口(わるくち)も忘れるほど無我夢中(むがむちゅう)で、学会歌を歌いながら走りました。何かあっても『さあ、どう乗り越えようか!』と心を決めて戦えば、楽しい」と。

 ともあれ、にぎやかな白ゆりの母たちの確信の声にこそ、また、伸びやかな華陽の姉妹のありのままの振る舞いにこそ、全てを蘇生(そせい)させゆく活力がある。

 世界の識者が仏法を理解する契機(けいき)も、その多くが身近な婦人部・女子部の方への感銘(かんめい)からである。
 戸田城聖先生は、女性の同志をよく激励された。
 「朗(ほが)らかに、はつらつと自分を開いていけば、そこから周囲も変わる。どんな試練(しれん)にも最後は必ず勝つという証(あか)しを、この信心で残していくんだよ」と。

 長かった悲嘆(ひたん)の女性史を一変させる時が来た。
 「女子は門をひらく」(1566ページ)。
 この無限の広がりを持つ御聖訓(ごせいくん)の如く、人類の境涯革命の門を開きゆこう! 母の讃歌(さんか)を、女性の凱歌(がいか)を轟(とどろ)かせて!