大白蓮華 5月号 巻頭言
大白蓮華 2013年(平成25年)5月号(No.761)
巻頭言
わが街は人間共和の宝土なり
「どんな人であっても、話し合ってみるべきだ」とは、ローマクラブのホフライトネル名誉会長の信条である。それは、なぜか。語り合えば、「必ず、その人の中に『宝』を発見できる」からだ。
対話は、人間への希望と信頼の源泉である。
法華経に登場する不軽菩薩(ふきょうぼさつ)は、万人の生命に具(そな)わる「仏性」という最極の宝を礼拝して、たゆまずに語りかけていく。たとえ、増上慢(ぞうじょうまん)の衆生から反発されても、断じて屈しない。決してあきらめない。
この「人間尊敬」の不屈(ふくつ)の対話こそ、法華経の修行の真髄(しんずい)である。それを、そのまま現代社会で、たくましく快活に、粘り強く実践しているのが、我ら創価学会なのだ。
日蓮大聖人は、他者を敬(うやま)う不軽菩薩の振る舞いを「鏡(かがみ)に向って礼拝(れいはい)を成す時 浮べる影又我を礼拝するなり」(御書769ページ)と明かされている。
まさに礼拝する思いで、真心を尽くして語っても、通じない時がある。しかし、生命の奥深くでは、相手の仏性もまた、私たちの仏性を礼拝しているのだ。
ゆえに、一時の反応がどうあれ、勇敢(ゆうかん)に誠実に語っていけば、仏縁(ぶつえん)が結ばれ、必ず花開く時が来る。
わが師・戸田城聖先生は、よく同志に言われた。
「世を見渡(みわた)せば、ただの一軒、ただの一人も悩みなきものはない。願望なき人間もいない。その心の中心にふれ、皆の仏性を呼び起こして、社会をより良く変えていくのが、立正安国の対話である」と。
晴ればれと
走れや語れや
この人生
宝の友を
多く つくりて
大聖人は「此の人(上行菩薩)末法に出現して妙法蓮華経の五字を一閻浮提(いちえんぶだい)の中・国ごと人ごとに弘むべし」(1239ページ)と仰せである。
地涌(じゅ)の菩薩は、不幸が渦巻く娑婆(しゃば)世界から絶対に離れない。現実の真っ只中に飛び込み、眼前の一人一人と共に悩み、一つ一つの課題に立ち向かっていく。
その繰り返しの中で、「生命尊厳」の大哲学を打ち立て、皆で励まし合いながら、いかなる災難にも負けない、幸福と和楽の宝土を築いていくのだ。
来る年も来る年も、たゆまず、この地域と社会への貢献に徹する多宝の方々たちは、何と神々しい生命か。
神奈川の草創の母は、広宣流布の大闘争の先頭に立って、経済苦も家族の病苦も勝ち越えてこられた。
この尊き母は、人生の最終章まで語っておられた。
「命ある限り、地涌の菩薩の本懐(ほんかい)を遂げていきます。すべての人を幸せにしたい。このことを、私は祈り抜いています。ゆえに、何も怖いものなどありません。妙法と共に勝ちゆく私の命の輝きを見よ! この一念で、勝利の種を蒔(ま)き続けていきます」
この母が大切に持ち歩いた交友録のノートは、娘さんに受け継がれ、友好の花を今も咲かせている。
日本全国、さらに世界192力国・地域のいずこの街にも、「信頼の柱」「正義の眼目」「安心の大船」と仰がれる創価の宝友が光っているではないか。
さあ、生き生きと若々しく、希望の対話を広げ、我らの宝土に人間共和の勝鬨(かちどき)を轟(とどろ)かせよう!