地域に「友情の花」咲かせよう

新年度も2カ月近くが経った。転勤、就職、進学等で生まれた出会いを大切にし、新しい友情を育んでいきたいものである。

 内閣府の「平成19年版 国民生活白書」によると、近年は「物の豊かさ」よりも「心の豊かさ」を求める傾向が強く、「人とのつながりが精神的やすらぎをもたらす」と多くの人が考えている。

 一方で「つながりの希薄化により人間関係が難しくなった」と感じている人は5割を超え、約6割の人が「生活面で協力し合う近所の人がいない」と答えていた。

 町会行事に参加する人も減り、都会ではオートロックのマンションが立ち並ぶなど、とかく人間関係が薄れがちな現代。

 その中にあって、人間の絆を大切にする私たちの運動が一段と輝きを増している。「あなたと会うと、いつも元気になる」「前向きな生き方を見習いたい」――生命力あふれる友の姿は、わが町・わが村の太陽だ。

 友情は、相手の幸福を思う強い“精神闘争”に裏打ちされて本物となる。忍耐も必要だ。なれ合いや打算では真の友情は紡げない。

 世界を舞台に、半世紀にわたって偉大な友情の道を開拓してきたのが池田名誉会長である。

 旧共産圏、中東、アフリカ……それまでの通念では交流や対話など難しかった地域にも、粘り強く信頼の橋を懸けてきた。

 駐日イラン大使だったハムザービィ氏が、かつて名誉会長に尋ねた。「中国、ソ連との交流には、驚きました。ダイナミックに世界を駆け回っておられる。その行動を貫くものは、いったい何ですか」。

 名誉会長は「人間対人間の交流です。それこそが、真の外交だという信念があります」と即答したという(月刊誌「潮」6月号の「池田大作の軌跡」)。

 人間対人間! 師が開いた大道を歩む学会の対話運動には、勇気・礼節・同苦など、今、最も社会で求められている「心の財」が輝いているといえよう。

 御聖訓に「仏種は縁に従って起る」(御書1467ページ)と。

 名誉会長はこの御金言を拝し、「私は『一人』との出会い、『一回』の語らいを大切にしてきた。その一つ一つが、友情を結び、信頼を広げゆく『種』となる。その種は、時とともに、計り知れない希望の花と咲き薫り、平和の結実をもたらしていく」と語った。

 皆が地域の発展を願う全権大使との誇りで、「友情の種」「幸福の花」を社会に大きく咲かせゆく日々でありたい。(5.24聖教・社説)